俺はきっと、この出会いを恋と呼ぶのだろう。
「シオン君」

「お母さん元気?」

「大きくなったねえシオン君」

バイトで店先に立っていると、いつもこんな感じだ。
3時になると、内藤さんに替わって、同い年のミキが替わりにバイトに入る。

別の高校に通う、女子高生だ。
ギャルではなく、耳にはボディーピアスがいくつもあって、前髪がパッツンのパンクなイメージの子だ。

田舎だからなのか、服装は最低限出来ていれば店長も何も言わない。
その最低限は、どんな基準なのかはよく分からない。

見た目はある意味派手だが、明るく人当たりの良いミキは人気がある。
俺は、ここでも可もなく不可もなくだ。

品出しをしながら、レジでお客さんと談笑してるミキを見ながら、まったり品出しや梱包をしている。

「シオン君、ちょっとこれ持てる?」

少し重い物があると、俺の出番になる。

「あいよ」

元々中学までは運動をしていたし、少なくともミキよりはどう見ても力仕事担当だ。
手慣れた手つきで、贈答用の醤油セットを包んでいく。

「シオン君?彼女とか出来た?」

作業をしていると、唐突にミキが質問を投げかけてきた。

「なに?興味もないよ」

俺は、なんとなくあしらってそのまま作業を続けた。
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