初恋を拗らせた幼馴染が婚姻届を持って溺甘淫らに求愛にやって来ました
 その日は突然訪れた。

 蒼のお母さんは、大量の薬とお酒を一緒に飲み、帰らぬ人となった。

 遺書も無かったので、事故として片付けられたが、自殺だったのか事故だったのか、真実は彼女にしかわからない。

 淡々と葬儀をこなす蒼の前に、蒼に良く似た顔の人が現れた。

「自殺だなんて、最期まで迷惑な女だ」

 眉間に皺を寄せて吐き捨てる様に呟いた男性を、蒼は無言で睨み付けていた。

 怒りで震え、強く握り締め、白く冷たくなった彼の手を、私はそっと開かせ繋いだ。

 ザワリッと嫌な胸騒ぎがして、思わず自分の気持ちを口にした。

「……私がいるから。 ずっとずっとそばにいるよ」

 正気のない青白い顔で、蒼は私に笑いかけた。

「うん……、約束だ。 ずっとずっとそばにいて」




 
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