素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
3章 二人の関係
縮まることのない距離
「いらしてたのですか、王女殿下」
「ええ。今日は陽気が暖かいから、部屋ばかりに引きこもっていてもね。私が来ては訓練の邪魔だったかしら」
シリルが訓練の手を休め、こちらに近づいてきた。
私に気づいた他の騎士たちもこちらを見ている。
にこやかに微笑めば、それだけで感嘆がおこった。
まったくこのシリルとの対応の違いはなんののだろう。
シリルももう少し、微笑んでくれたり、嬉しがってくれてもいいのに。
「邪魔だということなど、あるわけがありません。ただ、いくら陽気がいいといえど、まだ風が冷たいですからね。風邪でも引いてしまっては大変です。わたしが部屋までお送りしましょう」
「もぅ。シリルは過保護なんだから」
本音としては、こうしてシリルに部屋まで送ってもらう間に会話をすることが一番の楽しみなのである。
護衛騎士とはいえ、もう幼くない私の護衛はどこかに出かける時や寝ている時など、シリルに会える時間はぐっと減ってしまったから。