素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?

「付いていましたよ」


 そう言って、シリルは花びらを私に差し出す。

 庭で風に乗って飛んできたのか、それは小さな黄色い花だった。

 髪についていただけの花でしかないのに、シリルはただそれを差し出しただけでしかないのに、そんな単純なことで心がポカポカしてくるのが自分でも分かる。

 ああこんな些細なことでも私は……。


「な、は、花? そう、付いていたのね」


 花を彼の手から受け取る。

 もっと可愛げのある言葉が言えれば良かったのに。

 シリルを目の前にすると、どうしても素直に言葉が出てこないのだ。


「……」


 手の中の小さな花は、贈り物のようにさえ思えた。

 嬉しい。

 シリルが贈ってくれたものでないと分かっていても、それでも嬉しい。
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