素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?

「どちらもなのだが……。いや、久しぶりの二人の食事だ。今日はいい話だけにしよう。アーサーの結婚の日取りが決まったんだ。秋に行うことになった」

「まぁ、お兄様の」


 父は満面の笑みを浮かべる。

 相手は婚約者である公爵令嬢で、兄がとことん惚れ込んでいるお方。

 何度かお会いしたことがあるが、その身分に奢ることなく公平でハニーブロンドがとても綺麗な人だった。


「お兄様は幸せ者ですね」

「ホントにな。二人が結婚し、落ち着いた頃に王位継承を行う。そうすれば晴れて隠居生活だ」

「うふふ。やっとお父様の夢が叶いますのね」

「ああ、そうだな」


 父はそう言いながら、遠くを見つめる。

 この人はもともと王位にこだわりはなく、ただ国が平和になればという一心で王としてこの国を統治してきた。

 そしていつか平和な世が来たら、趣味の菜園と釣りをして生きていきたいと私たちによく話してくれていた。

 母の死を自分のせいだと責め、今までずっと走り続けてきたのだ。

 その姿を私たちはよく知っている。

 兄が王位を継げば、父の負担はなくなるだろう。

 そうなれば私も嬉しい。

 ただ一つの問題を除いては、喜ぶべきことなのだろう。
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