素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
5章 すれ違う想い
ゆずれないモノ
部屋へ戻っても、寝る気にはなれなかった。
寝台へと腰かけて、メイが押し花にと言って紙に折りたたんでくれた先ほどの花を見つめる。
この城で今までのような生活を続けていくのはもう長くはないとは思ってはいたが、こんなに早いとも思ってはみなかった。
どうしたら、どうすればいいのだろうか。
きちんと想いを伝えれば、シリルはどう思うのだろうか。
でも正式に申し込むのならば、兄か父から婚約を申し込んでもらわなけれないけない。
私はどうあがいても一国の王女なのだから。
自分の気持ちだけで、どうにかならないのも分かってはいる。でもそれでも……。
ふいに、部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。
私が先ほどの父との食事で気を落としていたのを気にしていた、メイが戻って来たのかしら。
「どうぞ」
「遅くに失礼します、王女殿下」