素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
「申し訳ありません。本来でしたら、わたしの口から王女殿下には一番に言わなければいけないことだとは思ったのです。このような形で約束を違えるなど……」
「待って、待って、シリル。一体何の話なのです? 私は先ほど王より、兄の結婚の話をされただけです」
約束を違える?
それはどういう意味なのだろう。
私とシリルが交わした約束は、ただ一つだけ。
どんな時でも、いついかなる時でも側で護るというあの幼い頃の約束だ。
「どういうことなの。約束を違えるとは、どういう意味なの!」
私が父から話を聞いていないことに、シリルは一瞬驚いたような顔をする。
そしてシリルは一度下を向いた後、まっすぐ私を見据えた。
「父が足を悪くしまして、爵位を継承することとなりました。次の月には引継ぎを終わらせ、領地へ戻る予定です」
「次の月……」
次の月まで、あと何日あるというのだろう。
先ほどの父の言った期限など、比べ物にならないほど短い。
父が言いかけた悪い話とは、これのことだったのだと私は理解した。