素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
「心配せずとも後任には第二騎士団の団長が王女殿下の護衛騎士として、就くことになっております。侯爵家の次男ですし、歳も二つほどしか違いありませんのですぐ打ち解けられるでしょう」
「シリル!」
「最後まで使命を全う出来ないことわたしを、どうぞお許し下さい」
「シリル!」
私の話を全く聞こうとしないシリルの胸に飛び込む。
「シリル、あなたは私の想いを知っているでしょう? 私は……、私はあなたのことが」
「いけませんルチア様、それを口にしては。前にも申したはずです。それは一時のものだと。共に死線を抜けて、その時の思いを共感したに過ぎないと。それは恋などと呼ぶものではありません」
「知らないくせに、私の想いなんて!」
「それでもです。ルチア様」
シリルが私の肩を掴み、優しく引きはがす。
「こんな時にだけ、あなたは私の名前を呼ぶのね……」
「お分かりください。わたしとあなたとでは、身分も歳も違いすぎます」
「歳とは何? 20歳上だとそんなに偉いの? ただ取るものに、なんの意味があるというのよ」
「20も違えば、全てが違います。あなたとわたしでは父と娘だ。そういうものなのです」
「分からないわ」
「今は分からなくとも、分かる時が必ず来ます」