素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?

 分かりたくもない。

 ずっとずっと目を背けてきたことだから。

 それをこんな形で、シリルの方から言われるなんて思ってもみなかった。

 全てを……私の想いすら全て否定されてしまった。

 もうこの先、彼とのこの先はないのだろう。

 シリスが私を置いて行ってしまう。想いも告白も、全てなかったことにして。


「分かりたくもない」

「ルチア様」

「大嫌いよ……、シリルなんて大嫌い」


 約束で縛り付けている、ただの卑怯者だということは分かっている。

 でもそうしてでも、側にいて欲しかった。本当に好きだったから。

 せめて、好きだと、私の思いの全てを聞いてさえくれればまだ、こんな惨めな思いはしないのに。

 私には、それすらも許されない。


「申し訳ありません」

「出てって、もう顔も見たくない」


 私は涙を堪えるのにただ必死だった。

 泣きわめいて、しがみついて、みっともなくて無様は姿を見せたくはなかった。

 それだけが王女としての、せめてものプライドだ。

 シリルは深々と頭を下げると、部屋から出ていく。

 しばらく彼のいなくなったドアを見つめた後、ベッドまで行くと、乗っていたすべての枕を扉に投げつけた。
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