素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
「……うん、そうか……そうか。寂しくなるよ、わたしの愛おしい子」
父は抱きしめ、頬へキスをしてくれた。
父が部屋を後にすると、メイをはじめとした侍女たちが大急ぎで仕度を始めた。
ただ一つのわがままとして、シリルより先に城を出たいと願ったからだ。
ココで彼を見送るのは、どうしても嫌だったから。
幸い後妻ということもあって、結婚式はない。
そのため花嫁衣装の必要もなく、領地療養も兼ねているので最低限の荷物さえあればいいのだ。
それでも、おそらく馬車一台分くらいの荷物になるだろう。
メイたちには申し訳なく思いながらも、私はお世話になった方たちへの手紙を書くことにした。
ただ最後に書こうと思ったシリルへの手紙だけは、どうしても筆が進まなかった。