素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
7章 別れ
想いを手紙にのせて
「シリル様」
演習場で引継ぎをしていたメイは、シリルを見つけると呼び出す。
「メイ殿、先ほど王女殿下の馬車が場外へ出ていくのを見たという者がいるのですが、何かあったのですか?」
その声色からは、シリルの感情はあまり読み取れない。
「……ルチア様の輿入れが決まり、本日出発した次第です」
「輿入れ? そんな急になぜ」
「今のルチア様の状態を見かね、王太子様がこのお見合いを計画したそうです。領地療養も兼ねてということです。わたくしたち侍女も、この後別の馬車にて出発いたします。それまでに、ルチア様よりシリル様にお手紙をと言われましたのでお持ちいたしました」
メイがやや不機嫌そうに、シリルへと手紙を差し出す。
今この原因を作ったシリルは、もはやメイたちにとって敵でしかなかった。
「それにしても、王女殿下を馬車に乗せるなど大丈夫なのですか」
「仕方ありません。お相手様の領地までは、馬車で早くても三日ほどかかるそうですので。馬でというわけにもまいりませんし」
「その、相手というのは」
「……」