素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
メイはシリルを睨みつける。
本来ならば貴族であるシリルを睨みつけたり不機嫌さを出すなど、あってはならないことだ。
しかし、メイにはどうして我慢ならなかった。
この不穏な二人のやり取りに、いつの間にか他の騎士たちも興味深々で近づいてくる。
「ルチア様は、今年60になられます、伯爵様の後妻だそうです」
「なっ。なぜ、そんな」
「言っておりましたよね? ルチア様はどういう方が好きなのかと。もちろん、それは国王様も王太子様もご存じです。今、どこかに輿入れしたとしてもルチア様の悲しみは消えはしません。それならば、どこかの若い貴族に輿入れさせるのは酷というものでございます」
「しかし、だからといって後妻など」
「では、今の状態のルチア様に、好きでもない方に輿入れしろと?」
「いや、そうではないが。何もこんなに急ぐことなど」
「ルチア様を娘として接して下さる方の元へ預けて、穏やかな日を過ごしていただきたいというのが、皆の願いでございます」