素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
エピローグ
素直になったツンデレ王女はこわもて護衛騎士と共に
城を出て小一時間ほど馬車を走らせると、道は市街地から山道へと入って行った。
木々が生い茂り、思い出したくもない記憶が甦る。
外を見ないように、馬車の窓のカーテンを引く。
その手が自分でも震えているのが分かった。
まだ一時間しか乗っていないのに、もう一日経った気がする。
ダメね、今までずっと馬車になんて乗ったこともなかったから。
胸に手を当てて深呼吸をしようとした時、外から声が上がった。
何を言ってるのか聞き取れないままに、馬車がガタガタと止まる。
予定では、次の街に着くまでは休憩の予定はないはずだ。
「なにが……おきたの……」
怖くて、カーテンを開ける勇気はない。
咄嗟に、馬車のドアに手をかけた。
押さえたところで、力のない私の力ではどうにもならないことは分かっている。
しかしそうでもしなければ、居ても立っても居られなかった。
「ああ」
力強くドアが開き、そこに手をかけていた私はそのまま馬車から落ちそうになる。
ぎゅっと目を瞑ると、私は誰かに抱き止められた。
それは大きな温かい手だった。