素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?

「これは恋心ではなく一時のもので、あなたもいつか夢から覚めてしまうと。そう思うことで、自分が傷付かぬように予防線を張っていました。だからルチア様から離れれば、きっとこんな醜い気持ちを捨てれると思った。ルチア様のことをずっと愛していたから」


 ポロポロと音もなく涙が溢れる。

 もうずっと、ずっと前から私とシリルの思いは一緒だったのだ。


「あの手紙を見た時、あなたが輿入れすると聞いた時、誰にも渡したくないと思ってしまった。今更なのは分かっています。わたしの意気地がないせいであなたを傷つけてきたことも。それでも……」


 シリルが言葉を言い終える前に、シリルの胸に顔を埋める。

 どれだけ遠回りをしたとしても、ここにいられるのならばそんなに幸せなことはない。

 私がずっと欲しかったもの。

 欲しかった言葉。


「では、約束して? もう一度、あの時のように」


 あの日の約束は、一度違えてしまったから。

 もう一度二人でここから……。


「いついかなる時も、わたしはあなたの側にあり、魂朽ちる時まであなたを護ります、ルチア様」

「ええ、約束よ。ずっと、ずっと側にいて。私はシリスでないとダメなの。あなただけずっと側にいて欲しいのよ」

 こんなにも嬉しい涙を流したコトは初めてではないだろうか。

 ぽかぽかと温かな胸の中が、シリスへの想いで埋まっていく。

 シリルが私の手を取り、口づけをした。

 あれほどまでに私を支配していた胸の痛みが、嘘のように消えていった。
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