素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
「……し……シリル……さま」
「絶対に助けます、王女殿下」
私は立ち上がれぬまま、彼に手を伸ばす。
すると彼はそのまま私を片手で抱き上げた。
泣きたいはずなのに、その腕の中では不思議な安心感があった。
大きな剣を手に持ち敵をなぎ倒していく。
私はその彼の胸に顔を押し付け、ただ時が過ぎるのを待つしか出来なかった。
「少し、休憩しましょう」
シリルの声で顔を上げる。
先ほどまで聞こえていた怒号は、いつしか消えていた。
辺りはいつもの鬱蒼とした静かな森である。
「シリル様、あ、あなた怪我を」
「ああ、これですか。大丈夫ですよ、王女殿下」
私を抱きかかえながらの戦闘。
片手での不便な戦闘のせいで、彼の頬には大きな傷が出来、そこからは血が流れていた。
「なにも大丈夫ではないではないですか」
「それほど深いものではありませんよ」
「ダメです。とにかく座って」