おんなじがほしい

(どうかわかりますように!)



左端から順番に目で追っていく。



こんなに深い緑色のパッケージじゃない、と思う。

これは青いパッケージだからきっと違う、と思う。



(でも中身の包み紙が外側のパッケージと同じ色とは限らないかも?)



そう思うと、やっぱり情報の少なさに特定は難しいと悟る。



(せめて何味のガムか知れたならいいのに……)



その時。

店内にチャイムの音が流れた。

誰かが入店したんだとわかる。

出入り口のほうをちらりと見てみた。

そこには私と同じ高校の制服を着た、ふたりの男の子がいた。



「……!!」



そのうちのひとりは、西原くんだった。



「オレ、飲み物買うわ」



西原くんがそう言って、こちらへずんずん歩みを進める。

飲み物のコーナーは店のいちばん奥にあるから、私のいるガムとあめのコーナーを通って行くはず。

私は顔を見られないように、とっさにその場にしゃがむように隠れた。


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