おんなじがほしい
「別に平気。家に売るほどあるから」
西原くん達がレジ前に移動する気配がした。
レジ前からだと、私のいるガムとあめのコーナーが見えるはず。
慌ててあめの商品を適当に手に取り、今まさに吟味しているふうに装った。
「妹がさー、何かに応募したらしくて、あのガムを半年分当てたんだよ。でもさー……」
西原くん、妹さんがいるんだ?
思わぬところで西原くんの新情報を得た。
「あいつ、ミント味って知らなかったらしくて。苦手だからって半年分全部、オレにくれたわけ」
(あのガム、ミントの味なんだ!)
ミント味とわかったら、もう少し探しやすくなる。
どのメーカーのミント味なのか、このまま話してくれないかな。
「へぇ。でも西原超気に入ってるじゃん。そんなに美味しいの?どこのガム?オレも買おうかな」
(ナイス!!)
西原くんの友達に感謝を込めて、再び右手の親指を立てる。