おんなじがほしい
「んー、それは無理かも」
西原くんは言った。
(え、無理?)
レジでお会計をしているのか、ふたりの会話が途切れる。
私の心はそわそわした。
「なんで無理?」
西原くんの友達が話しかけ、ふたりの会話が再開するみたいだから。
私は、耳に神経を集中させる。
「あのガムさー、期間限定のレアものらしいんだよ。だからもう、どこにも売ってないし。期間も終わったから」
(え……)
ふたりは店の外に出て行く。
遠くのほうで西原くんの友達の「まじかー」という声が聞こえた。