おんなじがほしい
でも西原くんは、
「田畑さんは気にしなくていいっつーの。ほら、さっさと掃除!」
と笑って、私に箒を渡してくれた。
それから、
「なんかさっきの会話、前にもしてなかった?オレら」
と、言った。
「あ……」
ふたりで可笑しくなってクスクス笑う。
箒で床を掃きながら。
ずっとこんな時間が続けばいいのにって思った。
「あの時さー」
西原くんが掃き続けながら言う。
「田畑さんがひとりで掃除してた時さー、鼻歌とか歌いながら文句ひとつ言わずに作業してたじゃん?」
思わず顔が赤くなる。
恥ずかしい。
でも。
そんなことを覚えてくれているんだ、と嬉しくもなった。
「オレさー、ちょっと感動したんだよね。自分だったらここまでできるのかなって考えたし」
「そんな……、私は別に」
「すごいことだと思う。今日だって、田畑さん全然嫌な顔しないし。だからオレ、手伝いたくなるのかも」