おんなじがほしい
「え?」
「『え』じゃないよ。田畑さんだから手伝いたいっつってんの」
西原くんはニイッと笑った。
あのいたずらっ子の少年のような。
ふんわりやわらかい天使のような。
心臓をわし掴みにされるような表情。
「なぁ、終わったら何か食べたくない?」
集めたゴミをちりとりに入れながら、西原くんが言った。
「オレ、何かおごるよ?」
「そんな、申し訳な……」
断りかけて、頭の中にある考えが浮かんだ。
「ん?何、どうした?」
(言っていいのかな)
でも、今しかない。
この機会を逃したら、もうこの先ずっと……。
セミの鳴き声が急に大音量で聴こえた気がした。
夏休みが近づく足音みたいに。
心のすみっこに住みついている寂しさの叫びみたいに。
「田畑さん?」
言わなきゃ。
頑張れ、私。
「……ガム」
「ん?」