おんなじがほしい
第二話
「ガムって、オレがいつも噛んでるやつ?」
西原くんはゴミ箱にちりとりの中身を入れた。
「……やっぱり、ダメですか?」
「?『やっぱり』って?」
西原くんが掃除用具入れを開けた。
箒とちりとりを片付けている。
「前にガムがほしいって言った人に、ダメって断っていたから」
「……あぁー、言ったっけ?うん、言ったな?ちょっと思い出してきた」
私が使っていた箒も片付けてくれている西原くんの顔が、だんだん赤くなってきている気がする。
「オレさー、あの時恥ずかしいこと言ってなかった?」
「え?」
『好きな人の好きなところ、自分だけが知っていたい的な?』
……ステキだと思ったけれど。
恥ずかしいの、かな?
考えている間に西原くんが、
「引くよなー」
と笑ったから、
「引きません」
と、私は首を振った。
「そんなふうに想ってもらえるなんて、いいなって……、うらやましいなって、思いました」