おんなじがほしい
それも西原くんという王子様から。
正直うらやましすぎる。
「あはっ、本当に?そんなふうに言ってもらえてちょっと安心したわ」
『安心』?
なんで?
私がよくわからない表情をしていたから、
「別にわかんなくってもいいよ」
と、西原くんがニイッと笑った。
それから、
「ゴミ捨てに行ってくるけど、田畑さんはまだ時間ある?」
と、西原くんがゴミ箱を持った。
私は、
「時間はあります。でもゴミ捨てには私が」
と手を伸ばしたけれど、
「教室で待ってて」
と、西原くんはさっさと教室から出て行った。
自分の席に戻り、しばらく待っていると。
西原くんが空のゴミ箱を片手に帰ってきた。
「ただいま」
「あ……、おかえりなさい」
ただの挨拶だけど。
ものすごく照れるよ、この言葉。
「オレ、手ェ洗ってくる」
ゴミ箱を戻した西原くんは、また教室を出て行った。