おんなじがほしい

それも西原くんという王子様から。

正直うらやましすぎる。



「あはっ、本当に?そんなふうに言ってもらえてちょっと安心したわ」



『安心』?

なんで?



私がよくわからない表情をしていたから、
「別にわかんなくってもいいよ」
と、西原くんがニイッと笑った。



それから、
「ゴミ捨てに行ってくるけど、田畑さんはまだ時間ある?」
と、西原くんがゴミ箱を持った。

私は、
「時間はあります。でもゴミ捨てには私が」
と手を伸ばしたけれど、
「教室で待ってて」
と、西原くんはさっさと教室から出て行った。



自分の席に戻り、しばらく待っていると。

西原くんが空のゴミ箱を片手に帰ってきた。



「ただいま」

「あ……、おかえりなさい」



ただの挨拶だけど。

ものすごく照れるよ、この言葉。



「オレ、手ェ洗ってくる」



ゴミ箱を戻した西原くんは、また教室を出て行った。

< 22 / 36 >

この作品をシェア

pagetop