イケメンを好きになってはイケません⁈
「な、たしかに、森下だよな」

 鈴木さんの声を合図に、ウォーっと怒涛のような歓声が上がった。

「良かった。森下くん、無事だった!」
 それぞれがバンザイしたり、隣の人と抱き合ったりして、喜びを体中で表している。

「おいおい、だから聞こえないって」
 鈴木さんに言われ、またみんな画面に向かった。


『お疲れのところ、お話を聞かせていただきありがとうございました。最後に何かおっしゃりたいことはありますか?』
『そっすね』

 マイクを向けられた森下くんはカメラを真正面から見すえた。

 そして、手を振りながら……

『聡子さーん、みてるかな? おれは無事です。安心して。早く会いたいよ』

 そう言って、極々上々の笑顔をはじけさせ、カメラに向かって投げキッスをした。

 あまりに能天気なその態度に、インタヴュアーはしばし、あっけに取られていた。

「心配かけやがって。あいつらしいな。普通、パスポートとかカバンに入れとくか?」

 良かった……
 ようやく、実感が沸いてきた。
 みんなの輪から少し離れて、じわじわと沸いてくる喜びに浸って……

 でも、それどころじゃなかった。

< 100 / 119 >

この作品をシェア

pagetop