イケメンを好きになってはイケません⁈
***

 とはいえ、彼が職場に戻った日は大変だった。

 朝からいろんな部署の人たちが代わるがわるやってきて、森下くんの無事を喜んだ。
 改めて、彼が会社のみんなに愛されていることがわかった。

 そして、昼休憩になると同時に、わたしたちは好奇心に目を輝かせている人たちに取り囲まれた。

「いつから付き合ってんだよ」
「1カ月ぐらい前から、だったよね」
 と彼がわたしを見たので、頷いた。

「どっちからアプローチしたんだ?」
「おれが惚れたんだよ、彼女に」

 矢継ぎ早に質問が飛んでくる。
 極秘交際が発覚した芸能人になったみたい。

「もう、杉本さん、なんで黙ってたのよ」

 営業部一の才女で、森下ファンの筆頭を自任する遠藤さんが、かなりきつい口調でわたしに訊いてきた。
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