イケメンを好きになってはイケません⁈
「あっちにいたときずっと、聡子さんを抱きしめたいって思ってたよ」
「わたしも……」

 彼は微笑みながら、わたしの涙を片手でぬぐうと、そのまま頬に両手を添え、唇を重ねてきた。

 溶けあってしまうかと思うほどの、長い長いキス。
 それでも、足りなかった。
 まだ満たされなかった。

 彼の匂い、唇の感触、抱き寄せる手の力強さ。
 そのすべてに、どんなに焦がれていたか……

 わたしはまだ収まらない涙を手の甲でぬぐって、一生懸命笑顔を作った。

「お腹空いたでしょう。ごはんできてるよ」
「もちろん、腹ペコ。手、洗ってくるよ」

 森下くんはテーブルに着くと、「やっぱ、聡子さんのメシが最高」と言いながら、何杯もおかわりした。

「もう、腹いっぱい」
 そう言って、お腹をぽんぽん叩く彼に笑いかけながら、わたしは熱いほうじ茶を彼の前に置いた。

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