イケメンを好きになってはイケません⁈
 湯呑み茶碗を両手で挟んで、美味しそうにごくんと飲むと
「な、ちゃんと帰ってきただろう。約束通り」
「うん。そうだけど……でも」

 彼の行方がわからなくなった日から、ずっとわたしのなかにこびりついている問い。

 これからも、わたしは森下くんのそばにいていいのだろうか。

 今回はたまたま無事に済んだだけで、わたしと一緒にいることが彼の不利益になるのだとしたら……

 悲しいけど、わたしたちは別れるべきだ。
 もう二度と、彼を危険な目に合わせてはいけない。

 今回のことで、はっきりした。
 やっぱり、わたしは男の人と付き合ってはいけない女なんだ。
 
 今日、森下くんが帰ってきたら、そのことを真っ先に言うつもりだった。

 それなのに顔を見たら決心が鈍ってしまって、なかなか言い出せなくて。

 でも……
 ちゃんと言わなきゃ。
 彼のために。

「森下くん、あの……」
 

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