イケメンを好きになってはイケません⁈
 でも森下くんは、そんなわたしの気持ちをとっくに見抜いていた。

 わたしの言葉を遮って、話し始めた。

「今回のことでさ。ずっと自分を責めてたんじゃないの? おれがテロに巻き込まれたのは自分のせいだとか思って」

 わたしがはっとすると、「やっぱり」と軽くため息をついた。

「そんなことだろうと思ってたよ。ジャカルタの留置所にいるとき、聡子さんの泣き顔ばっか浮かんできてさ。一刻も早くあなたを安心させたい。そればっか思ってた」

 あんなに大変な目に合ってたのに、わたしの心配をしてくれていたの?
 もう、森下くん……
 
 わたしは涙声になりながら、自分の気持ちを伝えた。
「でも……実際、あなたは大変な目に合ったから」

 テーブルの向かいからわたしの顔をじっと見つめて、彼は言った。
「それでも帰ってきた」
「それはそうだけど……」

 
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