イケメンを好きになってはイケません⁈
「もう、聡子さん。なんでわかってくれないのかな?」
 彼はちょっと呆れた口調でそう言いながら立ち上がり、わたしにも立つように促した。

 すぐに彼はこっちに回ってきて、わたしを抱き寄せた。

 森下くんの体温が伝わってくる。
 同時に、愛おしさが込み上げてきて、たまらない気持ちになる、

 ふーっとついた吐息が、わたしの耳をくすぐる。
 
「前にも言ったけど、人間、先のことは誰にもわかんない。おれに何かあったって、それは決して聡子さんのせいじゃないんだよ」

 でも……と、わたしは、彼の胸に体を預けたまま、話し始めた。

「あなたがテロに巻き込まれたかもしれないって聞いたときからずっと、わたしと別れてって言おうと思ってた……」

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