イケメンを好きになってはイケません⁈
 彼は少し顔を顰め、わたしの唇にひとさし指をあてた。
 そして、もう聞かないというように首を振った。

「ねえ、ちゃんと約束してくれよ。もうあんなジンクスに捉われないで生きていくって」

「……本当にいいの?」

 潤んだ眼で見上げると、彼はわたしを包み込むような温かな笑顔を向けていた。

「本当に、わたし……あなたのそばにいてもいいの?」

 ばーかと言いながら、森下くんはわたしの額を指で優しくはじいた。

「こんなにお互い好きなのに、なんで離れなきゃなんないんだよ。そんなこと考えるほうがおかしいって」
 
 彼はわたしの髪に指を差し入れ、引き寄せた。
 そして、噛みつくような激しさで口づけてきた。

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