イケメンを好きになってはイケません⁈
 息苦しくなって、吐息をこぼしたわたしの唇のすきまから、彼の舌が侵入してくる。

 嫌というほど口内を舌でなぞられ、たまらず体から力が抜けてゆく。

 森下くんは背に回した手に力を込めて、わたしを支えながら、さらに深く口づけた。
 彼の想いをすべて、わたしに注ぎ込もうとするかのように……

 唇を離してからも、しばらく無言で見つめあっていた。
 彼の燃えるような眼差しに捉えられて、目を逸らせなかった。

 彼はわたしの手を取ると、隣の部屋にいざなった。

「これから、おれと別れるなんて、そんなこと少しだって考えられないようにしてあげるから」

 そして……

 その彼の言葉を、わたしは一晩中、身をもって知ることになったのだった……
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