イケメンを好きになってはイケません⁈
 支度を終えてキッチンに行くと、たしかにテーブルの上に、パンとミルク、それに謎の茶色い物体が並んでいた。

 たぶん、目玉焼き? だよね。

「目玉焼き、作ろーって思ったんだけど、考えてみたら、おれ、卵割ったことなかったんだよね」
森下くんは、照れ臭そうに頭を掻いてる。

「起こしてくれて、よかったのに」
「いや、だって……」
 と意味ありげに目配せ。

「昨夜、だいぶ無理させたからさ。寝かせといてあげたいと思って」

 昨夜……無理させたって……

 ふたたび蘇ってきた記憶に、火がついたかと思うぐらい顔が熱くなった。

「おれが全部食べるから」
 と言って、森下くんは目玉焼きの皿を自分の方に引き寄せようとした。

「一生懸命作ってくれたんだから、わたしがいただきます」

 えー、いいよ。
 だめ、食べる。
 と、しばらく押し問答していたけど、なんだかおかしくなって、どちらともなく笑い出した。
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