イケメンを好きになってはイケません⁈
 わたしは立ち止まって、ひとつの巣を見上げた。
 4羽のひなが小さな口を開けてしきりに鳴いている。

 2週間ほど前、ひなの1羽が地面に落ちているのを見つけて巣に戻してあげたので、無事かどうか様子を見るのが日課になっていた。

 良かった。今日も元気そう。
 ほっとして駅に向かおうとしたとき、後ろからぽんと肩を叩かれた。

「今、帰りですか?」
 振り向くと……
 わ、も、森下くん。

「う、うん」
「じゃあ駅まで一緒に行っても?」
「いいけど……。早いのね、今日は」
「ノー残業デーですよねって、部長に断ってきたから」
「えっ、そんなの、守ってる人なんていないでしょう」

 森下くんはカバンを左手に持ちかえて、わたしの横に並んだ。

 ち、ちょっと近いんですけど……
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