イケメンを好きになってはイケません⁈
落ち着かない気分のまま、彼が話す取引先での失敗談に耳を傾けていた。
「プレゼンの原稿が1枚抜けてたときは、ほんと冷や汗もんでしたよ。なんとか切り抜けたけど」
「出がけにちゃんと確認はしなかったの?」
「自分ではしたつもりだったんだけど……」
そう言って森下くんはチラッとわたしを見て、「杉本さんにチェックお願いできたら安心なんだけどな……」などとしれっとのたまう。
不自然に伸ばした語尾が妙に思わせぶりで一瞬めまいを感じたけれど、なんとか踏みとどまり、「わたし、あなたのアシスタントじゃないから」とはぐらかす。
「ですよねー」
森下くんはけろっと答える。
と、彼はいつもこんな調子だった。
人懐っこいというか、なんと言うか、とってもオープン。
海外育ちの影響もあるんだろうけど、きっと、生まれたときから周囲の愛情を一身に受けて育ってきたんだろう。
きっと……
他人から負の感情をぶつけられたことなんて、一度もないんだろうな。
「プレゼンの原稿が1枚抜けてたときは、ほんと冷や汗もんでしたよ。なんとか切り抜けたけど」
「出がけにちゃんと確認はしなかったの?」
「自分ではしたつもりだったんだけど……」
そう言って森下くんはチラッとわたしを見て、「杉本さんにチェックお願いできたら安心なんだけどな……」などとしれっとのたまう。
不自然に伸ばした語尾が妙に思わせぶりで一瞬めまいを感じたけれど、なんとか踏みとどまり、「わたし、あなたのアシスタントじゃないから」とはぐらかす。
「ですよねー」
森下くんはけろっと答える。
と、彼はいつもこんな調子だった。
人懐っこいというか、なんと言うか、とってもオープン。
海外育ちの影響もあるんだろうけど、きっと、生まれたときから周囲の愛情を一身に受けて育ってきたんだろう。
きっと……
他人から負の感情をぶつけられたことなんて、一度もないんだろうな。