イケメンを好きになってはイケません⁈
 それにしても。

 ふと我にかえり、今の状況に改めて疑問を感じる。

 やっぱり変だ。

 人気者で仕事でも抜きん出ている彼が、どうしてオフィス最地味女子のわたしに接近してくるんだろう。

 そんなふうにドキドキしたりもやもやしたりしているうちに、ようやく地下鉄駅への降り口が見えてきた。

「杉本さんって出身はどこですか?」
「わ、わたし? 都内だけど。杉並と世田谷の境目あたり」

「すげ、いいとこじゃん」
「ぜんぜん。ずっと借家暮らしだったし」

「あの、双子のお姉さんか妹さんはいます?」
「双子? いないよ。兄がひとりいるけど」

「やっぱり、本人かー」
「えっ、なんか言った?」
「いや、こっちの話」
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