イケメンを好きになってはイケません⁈
 ここのエレベーターは6人乗り。
 オフィスのエレベーターのように広くないから、ふたりの距離はずいぶん近い。

 登る速度、いつもより5割は遅い気がする。
 何話していいか、わかんないよー。

 会社じゃないから油断していて、いつもの無愛想キャラ作ってなかったし。
 ドギマギしているうちに、やっと5階に到着した。

「じゃあね、アイス譲ってくれてありがと」

 それだけ言って、そそくさとエレベーターを降りた。

「杉本さん」
 彼はそのまま去っていこうとしていたわたしを引き留めた。

「これからよろしくお願いします」と片手でドアを押さえ、ぴょこっと頭をさげた。
 そして、ドアが閉まりきるまで、ずっと手を振っていてくれた。

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