イケメンを好きになってはイケません⁈
 梅雨の訪れとともに、どういう風のふきまわしか、めったに挨拶すら交わしたことがなかった森下くんが、突然、わたしに話しかけてくるようになった。

 以来、昼食中に同席してきたり、仕事中も何かとそばによってきたり……

 みんな驚いたけれど、一番たまげたのはこのわたし。


 その日から、判で押したように単調だったわたしのオフィス・ライフは一変してしまった。 

 わたしの名前は杉本聡子、27歳。

 地味でお堅い、真面目だけが取り柄の、この営業部の事務担当。

 部内でのわたしの存在は、華やかさで注目を浴びる森下くんとは、言うなれば対極。

 髪はイマドキのアレンジなんて皆無の、ただ黒ゴムで縛っただけの一つ結び。
 銀縁の眼鏡、地味なダークグレーのスーツ、第一ボタンまできっちりしめた白無地のオーソドックスなシャツ。

 ほぼ毎日こんな服装で出社している。
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