イケメンを好きになってはイケません⁈
「ふーん。でも女のひとり暮らしなんだから、そう簡単に男を部屋にあげるなよ。まあ、お前も結構いい歳だから余計なおせっかいかも知れないがな」

「だから、そんなんじゃないって。それに彼のほうで願い下げだよ。わたしなんか相手にするような人じゃないから」

「まあいい。これ、母さんから」

 兄は母親から預かってきたパウンドケーキの袋を渡してくれた。

 驚いてた、森下くん。
 あたりまえだ。

 男にまったく縁がなさそうなわたしに彼がいるなんて。

 ごめんね。恥をかかせて。
 わたしは心のなかで、彼に幾度も謝っていた。

 でも、良かった。
 これでわたしへの興味もすっかり失せただろう。

 災厄をもたらす女なんかと関わらないほうが、彼の身のためだ。
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