イケメンを好きになってはイケません⁈
第8章 元通り、のはずが【聡子サイド】
 これから、森下くんと駅前の喫茶店で会う。

 今朝は驚いた。
 あんな早い時間に彼がいるとは思っていなかったから。

 自分勝手を言えば、もうこんなふうに会いたくなかった。
 あのままフェードアウトできればいいなと思っていた。

 でも、森下くんの気が収まらないということも、充分理解できる。

 どう話せば、森下くんに納得してもらえるだろうかと、その日は一日中悩んだ。

 とにかく、今の彼とはラブラブで別れる気はこれっぽっちもないと力説するしかない。
 
 頭のなかでふたりの大恋愛ストーリー(……相手が兄貴だと、絶対思わないようにして)を1日かけて、でっち上げた。

 会社にいて仕事以外のことを考えるなんて、初めてのことだった。

 
< 61 / 119 >

この作品をシェア

pagetop