イケメンを好きになってはイケません⁈
「そっか。じゃあ、おれなんかに勝ち目はないな。そんなすごい人だったら」

 そんなことないよ。
 森下くんのほうがすごい人だよ。
 兄貴なんかよりずっと。

 そう言いたかったけれど、もちろんその言葉は飲み込んだ。

「今日は会ってくれてありがとう。なんとか気持ちの整理ができそうだ」
 
 彼はそう言って、別れ際に握手を求めてきた。

 はじめて握った彼の手は、思いのほか大きかった。
 そして、温かかった。

 最後には、微笑みながら「彼氏と幸せになってください」とまで言ってくれた。
 
< 63 / 119 >

この作品をシェア

pagetop