イケメンを好きになってはイケません⁈
 そして……

 森下くんは次の日からぱったり声をかけてこなくなった。
 思っていたとおりに。

 彼もそこまで真剣ではなかったんだろう。

 わたしみたいな毛色の変わった女がちょっと珍しくて、好奇心から興味を持った。
 そんなところだと思う。

 でも、いつでも失くしてからわかる。

 子どもの頃、世話を怠って金魚を死なせたときもそうだった。

 森下くんがわたしに声をかけてくれた1カ月間は、本当にスペシャルな時間だった。

 そのことがいまさらながら身に沁みる。

 でも、これで良かったんだ。
 そう思っていても、寒風が吹き抜けるような寂しさに沈んでいく気持ちを、すぐに浮上させることはできそうにない。
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