イケメンを好きになってはイケません⁈
 こうして、ふたたび会社と家との往復だけの、変わり映えのしない毎日がはじまった。

 朝はかならず8時に出社。お昼はひとりで過ごし、18時ごろに帰宅の途につく。

 以前に戻っただけなのに、虚しさを感じる割合がとても増えた。

 でも、時間をかけて慣れていくしかない。
 
 
 単調な日々にやっと心が馴染んできたのは、ひと月ほど経った、照りつける太陽が眩しい季節になったころだった。 8月第1週目の金曜日の夕方。

 会社からの帰り、自宅の最寄り駅で大勢の浴衣を着た女の子たちとすれ違った。

 ああ、今日、花火大会だっけ。

 この町の商工会が主催する夏祭りの呼び物。

 かなり大規模なもので、地元の人たちだけでなく近隣の人たちも大挙して押しかける、この周辺の一大イベントだった。
< 65 / 119 >

この作品をシェア

pagetop