イケメンを好きになってはイケません⁈
 その瞳から、彼の気持ちが痛いほど伝わってくる。

 一時の気まぐれなんかじゃない。
 森下くんは、本当にわたしを好きになってくれたんだと。

 体がふわっと宙に浮いたような気がした。
 それぐらい、身の置き所がわからなくなった。

 思わず自分の頬に手を持っていこうとした。

 つねっても痛くないはずだから。
 だって、夢だよね。これ。
 
 でも、ちゃんと話さなきゃ。

 話を聞けばきっと、もうわたしを好きなんて思わなくなる。
 
 「気味が悪い」と思うだろう。
 好きになった相手に不幸をもたらす女なんて。

 本当はそんなこと、誰にも話したくない。
 でも、森下くんの誤解を解くためだ。
 バカにされても仕方ない。
 そう覚悟を決めた。

「わたしの部屋で話そう。暑いでしょ、ここじゃ」
「いいの?」
 わたしは彼の目を見て、しっかり頷いた。
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