イケメンを好きになってはイケません⁈
 森下くんはグラスの水を一気に飲みほした。

「おかわり、いる?」
「いや、いいです。それより早く話が聞きたい。もう頭が混乱して、おかしくなりそうだ」

 わたしは彼の向かいに腰かけた。

「彼はお兄さんですよね。まさか……」
「兄よ、ただの。もちろん恋人なんて嘘」

「じゃあ、どうして?」
「こんなこと話したら、きっとバカにされるけど」

 そう前置きをしてから、わたしはぽつりぽつりと話し始めた。

 わたしが好きになった男の子たちが、一人残らずひどい目に合ったこと。

 だから、もし男の人と付き合ったら、その人が不幸な目に合って、最悪、死んでしまうんじゃないかって恐れていることを。
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