イケメンを好きになってはイケません⁈
「本当、バカげてるよね。でも当人としては、ずっと真剣に悩んできたんだ。わたしのせいで好きな人がひどい目に合うなんて耐えられなくて。ね、だから、もうわたしのことなんてほっておいて……」

 わたしの話が終わる前に彼は勢いよく立ちあがった。
 そして、わたしの手を強くひっぱると自分の胸に抱き込んだ。

「ほっとけるわけないじゃん」

 あっという間のことで逃げようがなかった。

「ねえ、ちゃんとわたしの話、聞いていた? 森下くん、離して……」

「だめ、離さない」

  至近距離のせいか、彼の声がいつもより低く聞こえる。

 色気すら帯びたその声に、心がとろけてしまいそうになる。

 そんなこと、言ってる場合じゃないのに……

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