イケメンを好きになってはイケません⁈
「だって、杉本さんはつまり、おれが好きってことでしょ」
「ちが……」
「違わない。じゃなきゃおれを避ける必要がないじゃない」

 森下くんはわたしの目を覗き込んでくる。
「お願い、離して」
「嫌だ」
 そう断言し、さらに腕に力を込めた。

「おれが好きだって白状するまで、離さないから」

 わたしは彼の腕のなかから、なんとか逃れようとする。
 でも、ありったけの思いを込めてわたしを抱きしめる彼から、到底逃れることはできなかった。

 彼に包まれたまま、わたしはほとんど叫ぶように、言葉を(ほとば)らせた。

「だって気味が悪いでしょう。みんなひどい目にあうんだよ。わたしが好きになるとかならず……」

 彼の大きな手が、わたしの頭の後ろに回ってきた。
 そして、ゆっくりと慈しむように撫ではじめた。
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