イケメンを好きになってはイケません⁈
「ずっと、つらかったんだろうね。あなたはなんにも悪くないのに……。でも、もう今日で終わりだ。おれが証明してやる。そんなジンクス、存在してないってこと」

 ーーつらかっただろうね。

 そんなふうに言ってくれるなんて、思ってもみなかった。
「ごめん、そんな人は無理。付き合えない」って言われると思ってた。

 温もりに満ちあふれた彼の言葉に、強張っていたわたしの体から、スーッと力が抜けていった。

 彼はわたしの顎先を、細くて長い指ですくい上げると、そっと頬にキスを落とした。 優しすぎるその感触に誘われて、とうとう、わたしの唇から本心が溢れだした。

「……好きよ。だめなのにって思えば思うほど好きになってしまって。もうずっと苦しかった」

 彼は極上の笑みを浮かべてわたしを見つめた。
「嬉しいよ。聡子さん……」

 わたしたちは、互いに吸い寄せられるように唇を重ねた。
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