イケメンを好きになってはイケません⁈
 花火を見上げていた彼は、わたしのほうに顔を向けた。

「ね。だから、ちょっとやそっとじゃ死なないから安心していいよ。そりゃ確約はできないけどさ。でも、先がわからないのは人間、誰でも同じことだし。せっかく、この世に生まれてきて、そして、こうして出会えたんだ。先のことを怖がってばかりいたら、もったいないよ」

「森下くん……」

 彼の言うとおりだ。
 わたしは、先の見えない未来に怯えることしか、してこなかったんだ。

「そんなことより、楽しいこと、考えなきゃ。ふたりでいろんなとこ行ったり、美味しいもの食べたりしよう。まずは海かな。おれ、親父の仕事の関係でオーストラリアの海の近くに住んでたから、夏はサーフィンしないと気が済まないんだ」

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