イケメンを好きになってはイケません⁈
「サーフィンなんてしたことない、わたし。第一泳げないし……」

「じゃ、海より先にプールか。泳ぎ、教えてあげるから」

 横を向いて見つめると、視線を感じた彼も、優しい目で見つめかえした。「森下くんといたら、退屈してる暇なんてなさそう」
「うん、覚悟して。おれの辞書に退屈なんて載ってないから」


 本当に終わるんだ。味気なかったわたしの夏は。
 白黒の世界が突然、極彩色に満たされるように。
 夜空を彩っている、あの花火のように。

 クライマックスが近づいてきたようで、空にはひときわ大きくて華やかな花火が次々と打ち上げられている。

 わたしは、森下くんの肩に頭を預けた。
 嬉しそうに視線を向ける彼。

 生まれてはじめて手に入れたこの幸せ。
 花火のように一瞬で消えたりしませんように。

 
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