イケメンを好きになってはイケません⁈
 仕事はまったく手につかなかった。
 何をするにも、いつもの数倍の時間がかかってしまう。

 すぐにその場から離れていこうとする意識をつなぎとめるのに必死で。
 
 でも、それはわたしだけではなく、この職場の誰もがだいたいそんな調子だった。
 みんな、無意識にルーティンをこなしている。
 普段は聞こえる、談笑の声もなく、ただ黙々と仕事をこなしている感じだった。
 
 そのときだった。

「あれ、これ、森下じゃね?」
 鈴木さんが声をあげた。

「なんかネット・ニュースでインタヴュー受けてるんだけど」

「えっ、どれ」
 その一言で、そのときオフィスにいた20名あまりの社員が全員、彼のパソコンの周りに集まった。

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