邂逅
葛藤
夜、眠りにつくのが怖かった。


朝、目を覚ますのが怖かった。


もしかしたら今日すら生きられないかもしれない


大好きで大切な人たちを失うのが怖くて


2度と会えなくなるかもしれないのが辛くて


だけど感謝の気持ちを伝える事も出来なかった。


いつしか私の放つ言葉たちは過去形へと変わっていった。


だけど、余命僅かな事は言えなかった。


気づいて欲しかった


でも気づいて欲しくない


制御出来ない、言葉に出来ない感情が湧いてくる


「楽しかったね」


「去年は映画に行ったよね」


過去の話しか出来なくなっていた。
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